開催趣旨

パートナーシップの会は、発達当事者、非発達の方、両方が常時参加可能です。
非発達の女性を中心としたパートナーの会はございますが、当事者は参加禁止となっている所がほとんどです。
当会は両者の間で翻訳をしたり、お互いが信頼できる相談相手のような「安全に話せる場所」としての会を目指して開催しております。

決して専門家が居るわけではなく、当事者が当事者の話を聞くことを目的とした会です。
できることは少ないですが、「安全に話せる場所」があれば後はパートナー同士でやっていける方なら
ちょうどよいきっかけになれるかも知れません。

「発達障害は異文化」「互いの違いを学び、認め合う」
と言った表現はよく耳にします。
それがパートナー同士になると信じられないほど困難になるのは、
人間にとってパートナーは、「相手との距離が最も近い関係」というのもちろんありますが、
自分の許容量を超えて異文化(パートナー)が侵食して来て、自身を保つことすらままならなくなります。
結果「違い」ではなく「本当に何が違うのか?」と向き合わずには生きれなくなる時もあります。

互いの違いを知り、気付き、正しく経過させ、起きたことを自身の中で一致させる。

パートナーの方とそれができるのではないか?と思えるのは既に幸せなことです。
当会も始めたのは、パートナーシップと会話、対話をしたいだけなのです。
それが必要で、それが出来るのではないかと思っても一人では、相手と二人だけではうまく話し合えない方が集まる場所があれば良いと考えています。


相手の世界、相手の言ったことにネガティブな感情で反応するのではなく、その世界をただ学ぶ。
そうしたくとも、いままで何度も失敗して、パートナーとの交流に心が折れている方は少なくありません。
それでも次は、相手よりも先に、自分を信じるために必要な条件を整えられるかも知れません。私を含め当会に参加される方がほんのわずかでも何かを持ち帰れるよう願って止みません。

まど・みちおさんの「さくら」という詩があります。
「さくら」と「発達障害を持つパートナー」は「自分の方法でコミュニケーションが取れない」
という点においてとても良く似ています。
いつ、どの時点で私達は相手が「さくら」だと言う当たり前の事実を忘れて傷つき始めるのでしょうか?

相手が、言葉の通じないさくらであれば「分かりたい」と素直に思えるのに
「パートナー」になった瞬間に「分からないなんて有り得ない」という思いが湧くようになります。

パートナーシップの会は
違いを学ぶ場所というよりも、参加いただいた方が自身の中の「分からないなんて有り得ない」に
気が付ける場所を目指したいと考えております。


「さくら」  詩・まど みちお
さくらの つぼみが
ふくらんできた
と おもっているうちに
もう まんかいに なっている
きれいだなあ
きれいだなあ
と おもっているうちに
もう ちりつくしてしまう
まいねんの ことだけれど
また おもう
いちどでも いい
ほめてあげられたらなあ…と
さくらの ことばで
さくらに そのまんかいを…
(『まどみちお詩集』ハルキ文庫・1998より)